株式会社ロジテムツムラ株式会社ツムラのグループ会社として、医薬品・医薬部外品・化粧品を中心とした運送・倉庫・流通加工などを行っている株式会社ロジテムツムラ。設立45周年を節目として、「ロジテムツムラ未来塾」を発足し、社員が自ら学ぶ仕掛けづくりを行っています。代表取締役社長の中田充様に、公開型研修サービス導入の背景や、展開する上での工夫について、お話をうかがいました。

当社が抱えている大きな課題は、社員の高齢化です。正社員は140名ほどいますが、5年後には2割強の社員が定年退職します。しかも、退職する社員の半数近くが管理職社員のため、次世代を担う管理職候補育成が急務です。
2018年に親会社のツムラは125周年を迎え、同時に当社も設立45周年を迎えました。これを節目として、20代から40代の若手社員を集めてプロジェクトチームを結成し、ロジテムツムラの未来について話し合うことに。そこから生まれたのが、「ロジテムツムラ未来塾」という人財育成プロジェクトです。「ロジテムツムラ未来塾」は、従来型の集合研修や階層別研修と異なり、個人に焦点を当てています。社員が自ら手を挙げ、将来の「ありたい姿」を描き、その為に必要な学びを選び、自分の可能性を広げて、会社や社会に還元していくことが狙いです。
私は、誰もが何かしらの「生まれ持った素質」を持っていると考えています。学生時代は、「理数系に強い」とか「球技が得意」だとか、素質に気づくきっかけがみつかりやすいのですが、いざ社会人になると、目の前の仕事に追われて、自分の素質に気づくことが難しくなるのではないでしょうか。だからこそ、研修を通じて改めて自分の素質に気づき、それを伸ばすきっかけをつくりたいと考えたのです。
そして、未来塾の学習コンテンツとして、リクルートマネジメントスクールの公開型研修サービスを採用しました。「自分のありたい姿を描き、そこに向かって必要な学びを選択し、主体的に学ぶ」という未来塾のビジョンを実現させるために有効だと考えたからです。当社は静岡県藤枝市にありますが、職場から離れた東京等で、異業種の方と交流しながら学ぶことも、塾生たちにとってよい刺激になるのではと考えました。
未来塾の募集では、応募方法を自薦と他薦(本人の同意必須)として、年齢も役職も不問としました。結果として30代の若手中心で6名の手が挙がりました。2018年4月に、未来塾のキックオフミーティングを開催。6人の塾生が集まり、自分たちの「ありたい姿」を描き、実現に向けて計画を立てるための場としました。
ところが、「ありたい姿」と現状のギャップを話し合っているとき、どちらかというと塾生の未来についてというより、職場で感じている問題点の列挙に終始する場になってしまいました。未来塾ではできるだけ職場から離れ、上司や同僚の目を気にせずに自分の想いを素直に語れる環境づくりを意識していたので、忌憚のない意見が出てくることは望ましいことです。しかしながら、それらの意見は、課題の解決や職場への改善提案には一歩届いていない印象を受けました。
キックオフ後の未来塾のスケジュールとしては、まず学びのベースとして人生の成功の原則を説く「7つの習慣」をはじめとして、一人ひとりが自由に公開型研修サービスのコースを選択できることにしました。
塾生が選んだコースとしては、職場のコミュニケーションを円滑にするためのヒントを学べるものや、仕事を進める上での基礎となる論理的思考力(ロジカルシンキング)を学べるものが目立ちました。塾生たちは、職場のコミュニケーションや仕事の進め方などに課題を感じていたのだと思います。当社は正社員のほかにパートタイム勤務が200名ほどいます。年齢層も高く、仕事に対するスタンスもそれぞれ異なるので、その中でどうコミュニケーションをとればいいのか悩んでいたようです。

塾生たちは研修を受講する際、長時間職場を空けることになります。彼らが後ろ髪を引かれることのないように、職場の理解が必要です。そのため、直属の上司にも職場での支援を要望しました。さらに塾生のありたい姿を共有し、そこに上司としての期待も加えて、塾生の課題を設定。このように塾生と上司をうまく絡めて、「塾生の課題は上司や職場の課題でもある」と捉えられるようにしました。
未来塾では、3カ月に1回、振り返りの場も設けました。7月に行った振り返りでは、まだ「ありたい姿」がぼんやりしていたようですが、いくつかのコース受講を終えた10月の振り返りでは「学んだことを誰かに伝えたい」「新たに学びたいことが増えた」など主体的な姿勢が見えてくるように。きっと塾生たちは新しい学びに飢えていたのだと思います。砂漠で水を求めていた人のように、どん欲に学びを求め、吸収するようになりました。その結果として、前向きな言葉があふれ出てくるようになりました。
総まとめの機会として、未来塾で学んだことや会社への提言を発表する場を2019年2月に設定し、その準備として2018年12月に合宿を開催しました。未来塾を通じて得た学びや、自分たちのありたい姿、会社への提言など、頭の中にあるものを整理することが目的です。合宿の夜からは、上司も同席し、「今後の仕事の進め方」や「ありたい姿に向かうためにどう支援していくのか」などを話し合いました。これは一人の塾生から「上司の理解度を高めてほしい」という要望がきっかけです。そのため、直属の上司たちを集めて、未来塾への理解と協力を要請しました。こうして、上司を絡めてプロジェクトを進めることにより、職場ぐるみで塾生の成長を後押しする環境ができたのではないかと思います。
4月のキックオフの時点では戸惑いを見せていた塾生たちも、翌年2月の活動報告発表では一人約15分間、社員たちの前で、自分が取り組む目標や、会社の課題に対する考えを自分の言葉で語れるようになりました。実は、塾生全員がプレゼン資料を自分でつくって発表することが初めてだったため、堂々と発表する様子そのものが、彼らの成長を物語っていたようです。
活動報告発表会では、これまでの塾生の成長を10年以上見守ってきた社員の口から、「1年間で見違えるように成長した」というコメントも聞こえてきました。目の前の仕事で精一杯だった塾生たちが、会社組織のことを話し出したわけですから、その衝撃は大きかったのだと思います。塾生たちは、「生まれ持った素質」をやはり持っていました。未来塾での主体的な学びを通じて、その素質に火をつけることができたのではないでしょうか。組織の若返りを図るための提言も、塾生たちから少しずつ出てきています。
45周年を節目として取り組んだ未来塾は、期待を超える好影響を会社に与えてくれました。しかしながら、これは「はじまり」でしかありません。ロジテムツムラはツムラグループの一員として、グループ経営理念を浸透させつつ、ロジテムツムラの経営方針を具現化させながら、常に進化していき、50年、100年永続的に事業を展開できる会社を目指しています。その上で、働く社員はもちろんのこと、その家族や親せきからも「いい会社に入ったね」と言われ、社員自身も「誇れる会社」だと言える企業を目指したいのです。未来塾がその実現のきっかけの一つになることを期待しています。

1973年(昭和48年)4月5日に設立。株式会社ツムラのグループ企業の一員として、高品質な物流サービスの提供と蓄積された品質管理ノウハウを通じて社会と地域に貢献。化粧品製造業(一般及び包装・表示・保管)、医薬部外品製造業(包装・表示・保管)の業許可を取得し、 GMP(Good Manufacturing Practice)を遵守した高い品質管理基準に基づく流通加工事業と一般労働者派遣を中心とする人材サービス事業、 保険代理店事業など多角的に事業を展開。
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